「なぜ骨盤が歪むのですか」「なぜ膝が痛くなるのですか」このような質問をよく受けます。その度に私は「なぜだかわかりません」と答えています。それは、質問をされる方の生活の一部始終を見ているわけではありませんから、歪みや痛みの原因が私にわかるはずがないからです。

腰痛で来院されたある患者さん、いろいろ観察してみますと骨盤が左上があり、右下に傾いていました。そのことを伝えたら「なぜ傾くのですか?」と聞いてきましたが答えるのは難しく、それは一つの原因からきている訳ではないからです。例えばカバンをいつも右にかけていると言うことに本人が気づいたとして、このことは確かに原因の1つではあるかもしれませんが、それだけかと言われればそうとも言えません。腰痛になった直接の原因は聞いていませんが、例えば「重いものを持ち上げる」と言うことが原因であるのは間違いありません。しかしそれだけが原因かと言われれば決してそうではないでしょう。彼女の話によりますとよく「横座り」ををしている、椅子に座る時は足を組んでいたなどいろいろな思い当たる原因を話をしていました。「横座り」とか「脚組み」など生活習慣で歪みは、だんだん固定され、関節が歪みの原因となっているはずです。しかし、「重いものを持ち上げる」というのは直接の原因に過ぎません。

このように、人のからだが歪んでしまうのには、「重いものを持ち上げる」といった浅い原因だけではなく、「横座りや脚組み」のような深い原因が重なることもあります。

原因が重なっている場合には、浅い原因に対応してもだめなことがわかります。

②へ続く